熱中症(ねっちゅうしょう)

本格的な夏到来となりました。
スポーツやレジャー、あるいは仕事の関係で、屋外で運動、活動する機会が多くなると思います。
屋外屋内にかかわらず、高温多湿の場所で長時間スポーツや作業を続けると、 熱中症になりやすい季節です。
熱中症は重症化すれば生命の危険もあります。
また、熱中症は年齢に関係なく、条件さえ揃えば、誰にでも起こり得る病気です。

熱中症の発生する状況

どんなとき熱中症になるのでしょう。

炎天下、外で運動や、レジャー仕事をしている時に起こりやすいことは事実ですが、 熱中症は運動時や労働時にのみ起こるわけではありません。

熱中症の15%は屋内で安静にしていても発症しているという報告もあります。

これは、『高温多湿で風通しが悪い場所』にいるだけで容易に起こる可能性 があることを示しています。

熱中症の分類

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熱中症を防ぐには?

熱中症を防ぐにはどうすればいいのでしょうか?
ポイントは以下の2つ!
・こまめな水分補給
・涼しい場所での休息

では、具体的に各項目について説明します。

1.水分補給について

早め早めに水分補給をするように心がけてください。

水分補給の内容としてはスーパーなどで入手できる一般のスポーツドリンクで充分です。 (スポーツドリンクが重要です。詳細はあとで説明します。)

運動、レジャー、仕事などの活動前に250~500mL、活動中は1時間ごとに500~1000mL 取ることをおすすめします。

レジャーの最中など、遊びに夢中になって水分補給を忘れがちですが、 必ずこまめに水分補給を心がけてください。

のどの渇きがある程度なくなるまで水分補給をすることが重要ですが、 おしっこの色も目安の一つになります。

正常なおしっこはうすい黄色ですが、脱水をおこすと、濃いオレンジや茶褐色のようになります。

いつもの健康なおしっこの色をチェックしておけば、その色の尿がでるまで 水分補給が必要であることがわかります。

注意点としては、ミネラルウォーター、お茶などの塩分を含まない飲み物だけで 水分補給をしないでください。

汗で失われた塩分の補給ができずに、筋肉の痙攣、倦怠感などの症状を起こす場合があります。

適度な塩分補給の意味も兼ねて、できるだけ、スポーツドリンクで水分補給してください。

スポーツドリンク以外の方法であれば、お茶や水とともに適宜、塩をなめながら、 あるいは梅干しを食べながら作業をされている方もおられると思います。

これも、熱中症を防ぐ、良い方法の一つです。

汗で失われた塩分を補給するという意味から合理的な方法なのです。

また、高齢者の場合、老化に伴い、のどが渇きにくくなっています。
(口渇中枢の衰えのため)のどが渇いていなくても、定期的な水分補給が必要です。

乳幼児の場合も、のどの渇きを的確に表現できない場合がありますので、 保護者の方は定期的な水分補給を心がけてください。

ただし、心臓病(心不全など)、腎臓病(透析中の患者さん)など水分制限が必要な患者さんは、 かかりつけの主治医の先生と相談して、摂取すべき水分量を決めてください。

2.服装について

衣服は、風通しが良くて軽い、熟を吸収しにくい白系統のものを着用しましょう。

帽子やヘルメットなど直射日光をさける工夫もしましょう。

3.その他

涼しい服装をすることや帽子やヘルメットをかぶることは重要ですが、 それでも高温多湿の場所で長時間滞在すれば、熱中症を起こし得ます。

完全には予防できないので、適度な休憩および水分摂取をしてください。

また、自分の体力を過信しないことです。

普段、健康な若い方でも発熱、寝不足、食欲不振など体調が悪い時は、 熱中症にかかりやすいため、無理をしないことが大切です。

外で活動する日の前日は、夜更かしや深酒をしないなど、体調を整えておきましょう。

乳幼児、高齢者は特に簡単に熱中症になりやすいです。

屋外でなくとも冷房設備もなく、風通しが悪ければ、室内でも熱中症は起こることを 忘れないでください。

熱中症になったら?

活動中に、めまいや頭痛、気分不快などの症状が少しでも現れたら、風通しの良い、 涼しい木陰などに移動し、休息を取り、スポーツドリンクなどで水分補給してください。

炎天下あるいは高温の場所での活動を続けると命にかかわる危険性もあります。

万が一、意識が無い場合には、直ちに救急医療機関に運ぶ必要があります。

その間の応急処置としては、患者を冷房下(できれば木陰)に移して衣服を脱がせ、 霧吹きで体の表面に水をかけてください。

霧吹きがなければゆるくしぼったぬれタオルで体の表面を濡らすことで代用できます。

また、同時に足の付け根や首筋、わきの下、足首など、 動脈が触れる部位を氷の入った水袋などで冷やしてください。

動脈を流れる血液を冷やすことで、速やかに体内を冷却する効果があります。

最後に

熱中症はだれにでも起こりえる病気です。

しかし、ちょっとした心がけ次第で、熱中症にかかる確率を減らすことができます。

体調を整えることも重要ですが、体調が良くても、体力を過信せず、 こまめな水分補給と涼しい場所での休息が重要です。

これからの暑い夏を健康に乗り切りましょう。