概念
全身の疼痛とこわばりを中心症状とする。
不眠・抑うつ・疲労感などの精神・神経症状、 口腔内乾燥感・ドライアイなどのシェーグレン症候群様症状、 過敏性腸症候群・膀胱炎症状を呈する。
疫学
病因
原因は不明。
精神的・身体的ストレスが誘因となることが多い。
症状
上記症状。
検査
一般の血液検査・免疫学的検査・レントゲン検査 : 異常なし。
診断
アメリカリウマチ学会(ACR)の分類基準(1990)により診断。
・「広範囲の疼痛」が3ヶ月以上持続する。
・18ヶ所の圧痛点のうち11ヶ所以上に圧痛を認める。
上記の両方の基準を満たすとき、線維筋痛症と診断する。
治療
薬物療法
プレガバリン(ガバペンチン)
抗うつ薬
ノイロトロピン® (注射剤)
トラマドールとアセトアミノフェン
トロピセトロン
クロナゼパム
その他:抗不安薬、漢方薬など
非薬物療法
疾患の受容と患者、家族、周囲への教育
自己効力感
認知行動療法
運動(段階的有酸素運動)
補完・代替医療
(針灸、ヨガ、マッサージ、カイロプラクティック、催眠療法など)
予後
生命予後:良好。
長期に持続することが多く、慢性の難治性病態。
発症1年後(本邦) ◦治癒 : 1.5%のみ
◦症状改善:51.9%
◦症状不変:37.2%
◦症状悪化: 2.6%
◦予後不明: 6.8%
圧痛点
1. 後頭部 後頭下筋の腱付着部
2. 下部頚椎 第5~7頚椎間の前方
3. 僧帽筋 上縁の中央部
4. 棘上筋 起始部、内縁に近い所で肩甲骨棘部の上
5. 第2肋筋 第2肋骨~肋軟骨結合部、結合部のすぐ外側
6. 外側上顆 上顆から2cm遠位
7. 臀部 臀部の4半上外側
8. 大転子 転子突起の後部
9. 膝 内側やや上部のふっくらした部分
10. 大腿四頭筋外側部 ほとんど全例で圧痛を認める。(西岡ら)
※1~9:ACRの圧痛点 10.:本邦のみ
【参考文献】日本リウマチ財団 線維筋痛症 リウマチeラーニング 2008より改変