概念
百日咳とは特徴的な咳が長期間続く病気です。
新生児や乳幼児では、咳に続いて嘔吐や無呼吸発作を認め、重症化することがあります。
疫学
いずれの年齢でもかかりますが、小児とくに6ヶ月未満の乳児が中心です。
日本では三種混合(DPT)ワクチン開始以降、患者数は減りましたが、現在でも年間1万人以上が発症しています。
病因
原因菌 百日咳菌です。 感染経路 百日咳にかかった人の咳やくしゃみ、つばなどのしぶきに含まれる菌を吸い込むことによって感染します(飛沫(ひまつ)感染)。 潜伏期 約1週間です(4日~21日)。
症状
百日咳の経過は3期に分けられます Ⅰ カタル期(約2週間) くしゃみ、鼻水、微熱などのカゼ症状から始まり、咳が徐々に強くなります。 Ⅱ 痙咳期(約2~3週間) 激しい咳が続きます。
連続した咳(コン、コン、コン)のあとに一気に息を吸い込む(ヒュー)症状を繰り返します。 Ⅲ 回復期(約2~3週間) 咳が徐々におさまります。
診断
典型的な咳などの症状から診断を行います。典型的な咳は約1週間後から現れます。
軽症の場合、病初期の場合、年長児や成人の場合は、典型的な咳を認めないため診断が困難です。
確定診断のために血液検査(百日咳凝集素価を測定)を行いますが、症状が出現しているときと回復期の2回の採血が必要です。
治療
百日咳菌に効く抗生物質(マクロライド系)を内服します。
乳幼児でミルクが飲めないようなら入院治療が必要です。
予防方法
三種混合(DPT)ワクチンが有効です。生後3ヶ月から接種できます。
保育園などの集団生活を始める前には必ず接種しておきましょう。
予後
一般にそのまま良くなりますが、肺炎や脳症を合併し重症化することがあります。
6ヶ月未満児での死亡率は0.6%との報告があります。
その他
近年、ワクチン効果が弱くなった青年・成人が感染する事例が増えています。
気づかないうちにワクチン未接種の新生児や乳幼児に感染させる恐れがあります。
長引く咳がある人はできるだけ赤ちゃんには近づかないようにしましょう。
学校保健法での取り扱い 特有の咳(コン、コン、ヒュー)が消えるまで出席停止です。