腰部脊柱管狭窄症とは

骨や椎間板、靭帯などの軟部組織の加齢変化により、脊柱管が狭窄して神経を圧迫することで坐骨神経痛が生じる疾患です。
・1954年、Verbiestによりその概念が提唱されました。
・多くは、間歇性跛行かんけつはこうという病態を呈します。すなわち一定の歩行で下肢のしびれや痛み、脱力感などが出現して歩行が困難になります。 しかし、しゃがみ動作などで休息をとると数分で症状が改善して歩行が可能になります。

メカニズム

・脊柱管の圧迫部位により

1.脊柱管正中部で馬尾が圧迫される馬尾型
2.lateral recessの神経根部で傷害される神経根型
3.馬尾型と神経根型が混在する混合型
に分類されます。

・馬尾性間歇性跛行は、一般に殿部から下肢、会陰部の異常感覚(多根性傷害)を特徴とします。
・一方、神経根性間歇性跛行は、殿部、下肢の疼痛(単根性傷害)が特徴です。
・混合型は、馬尾型と神経根型の合併した症状を呈します。

診断

・単純レントゲン、CT、MRIなどの検査を行います。
また、立体的な動態撮影として脊髄造影検査が有効なこともあります。
・障害されている神経根の確定には、神経根造影やブロックが必要なこともあります。

鑑別すべき疾患

間歇性跛行が起こる疾患に閉塞性動脈硬化症があります。
これは、下肢動脈硬化症により生じる阻血性の跛行で、疑わしいときには循環器内科の診察が必要です。

治療

保存療法と手術療法があります。

保存療法

i.生活スタイルを改善し、消炎鎮痛剤や循環改善剤の内服、神経ブロック注射などで治療を行います。
ii.3ヵ月間の間に効果がない場合には手術を行うかについて医師と相談する必要があります。

手術療法

i.手術は椎弓を切除して脊柱管を拡大する方法が一般的ですが、 変性すべり症などで、手術後に脊椎の不安定性が生じる危険が懸念される場合には、 脊椎固定術を行います。
ii.手術後、2~3週間で退院できます。