概要

ピロリ菌は4~8本の尻尾(鞭毛)を持つ細菌で鞭毛を回転させて移動します。

胃の中に住んでいて胃潰瘍などさまざまな病気の原因とされています。

1979年にオーストラリアの医師ウオーレンとマーシャルが培養に成功し病原性を証明しました。

感染経路は乳幼児期に口-口感染(口移し)、糞-口感染、飲料水感染、ハエ、ネコ、ゴキブリなど動物から感染などといわれています。

衛生環境の発達した現在では感染率は低下していますが30歳以上では50%~80%と高率です。

ピロリ菌による疾患

ピロリ菌は毒素やアンモニアを産生し胃粘膜を障害し慢性萎縮性胃炎を起こします。
その状態が長期になると胃潰瘍、胃がんを起こしてきます。

従来の治療では胃十二指腸潰瘍の半数以上が再発長期化しますがピロリ菌を除菌すると再発率は2-3%です。
また短期で治療を止める事ができ医療費の軽減になります。

その他ピロリ菌除菌治療の適応とされている疾患は、 胃MALTリンパ腫、胃がん治療後、胃線種、慢性萎縮性胃炎、 胃過形成ポリープ、機能性ディスペプシア、特発性血小板減少性紫斑病 などがあります。

その他、口臭、小児の鉄欠乏性貧血、慢性蕁麻疹、レイノー病、虚血性心疾患、偏頭痛 などで除菌の意義が検討されています。

ただし保険適用があるのは胃十二指腸潰瘍、胃MALTリンパ腫、特発性血小板減少性紫斑病、早期胃がん内視鏡治療後のみです。

また逆流性食道炎は除菌すると胃酸分泌が高まるため悪化する危険があり注意が必要です。

ピロリ菌の検査

ピロリ菌の検査は、

胃カメラで生検し組織を染色し直接観察する組織鏡検法
生検組織のアンモニアを調べるウレアーゼ試験
胃カメラを使用しない尿素呼気テスト
血中尿中抗体検査

などがあります。

胃カメラで診断し除菌治療後の効果判定には尿素呼気テストを用いる施設が多いようです。

ピロリ菌の除菌治療

ピロリ菌除菌治療はPPIという抗潰瘍剤とアモキシリンとクラリスロマイシンという抗生剤を同時に1日2回1週間内服します。

その間副作用として下痢、味覚異常、発疹、腹部膨満、腹痛、舌炎などがありますが休まず1週間内服し続けないと効果がないし耐性菌を作るといわれています。

この除菌の成功率は70%ほどです。

除菌に失敗するとクラリスリマイシンの代わりにメトロニダゾールを使用し再度施行します。

当院内科にてピロリ菌の検査と治療を行っていますので、お気軽にご相談下さい。