真菌の一種である皮膚糸状菌が皮膚に寄生して生じる。
我が国で頻繁に見られるのは “Trichophyton rubrum” ならびに “T.mentagrophytes” である。
通常は表皮角層、爪、毛包に感染し病変を生じる。
種類
足白癬 (通称“水虫”)
以下の3病型に分類される。
趾間びらん型: 最も多い。趾間の紅斑と小水疱として始まり、鱗屑を形成する。白く浸軟し、びらんを形成することがある。 痒みを伴い、びらんから細菌の2次感染を生じることがある。
小水疱・鱗屑型: 土踏まず、足趾基部に好発する。小水疱が多発した後、乾燥して鱗屑を認めるようになる。梅雨時に起こりやすい。
角質増殖型: かかと部に好発する。角質増殖を起こし、亀裂を生じると痛みを訴えるようになる。痒みはほとんど無い。
爪白癬
足白癬に続いて生じることが多く、爪の先端から爪母に向かって白濁していくことが多い。
痛み・痒みなどの自覚症状を欠くことが多く、足などへの皮膚糸状菌の供給源となっていることがある。
頭部白癬 (俗称“しらくも”)
毛髪に菌が感染し、境界明瞭な脱毛班を形成し、病変部位には乾燥性で粃糠状の鱗屑と短く切断された毛髪を認める。痒みを伴う。
その他
手白癬、股部白癬(俗称 いんきんたむし)、体部白癬(俗称 たむし)、 顔白癬など、体のいずれの部位にも生じうる。
手掌・足底・被髪頭部以外では、辺縁が堤防状に隆起して丘疹や小水疱、鱗屑を伴い、中心治癒傾向を認めることもある環状紅斑として出現することが多い。
診断
皮膚科医による顕微鏡を用いた菌糸の確認、培養による皮膚糸状菌の分離により診断する。
治療
抗真菌剤外用薬を用いることが多いが、角質増殖型の足白癬、爪白癬、頭部白癬などに対しては抗真菌剤の内服薬を第一選択とする。
ただし、肝障害や、併用注意薬を使用されている場合などは外用薬で治療を続けることもある。
代表的な抗真菌内服薬に ラミシール® と イトリゾール® があり、前者は1日1回 約6ヶ月間、後者は1日8カプセル(計 400mg)を1週間内服し3週間は休薬のコースを3回繰り返すパルス療法を用いることが多い。
どちらも肝障害の発現に注意するため定期的な血液検査を要する。
かつて使用されていた グリセオフルビン® は殆ど用いられなくなりつつある。