骨粗鬆症とは

骨粗鬆症とは骨量が減少し、骨がスカスカになる病気です。骨量は20歳頃にピークを迎え、40歳以降は加齢とともに減少していきます。特に閉経後の女性では女性ホルモンの減少骨量も急激に減少することが解っています。骨量の減少は、寝たきりになる主要な原因である「転倒骨折」を引き起こすために、骨粗鬆症を早期発見し骨折の予防・治療を行い、将来健康で自立した生活を送れるように定期的な骨塩定量検査をお勧めします。

骨塩定量検査とは

骨に含まれるカルシウムなどのミネラル成分の量を測定する検査で、骨粗しょう症や代謝性骨疾患の診断に役立ちます。

骨塩定量検査はなぜ必要

厚生労働省の調査によると、介護が必要になった人の約12%が「転倒・骨折」によるもので、その主な原因が骨粗鬆症です。将来、寝たきりにならず、元気で充実した日常をおくるためにも、骨密度検査により現在の自分の骨の健康状態を数値化することにより、骨量の減少を早期に発見し、適切な予防や治療を行うことが望まれます。

骨塩定量検査の種類
検査名 検査方法 部位
DXA法 2種類の異なるX線を照射し、骨と軟部組織のX線吸収率の差により骨密度を測定 腰椎
大腿骨
MD(DIP)法 X線を使って、手の第2中手骨と階段状で厚みが異なるアルミニウム板とを同時に撮影し濃度を比較し測定
超音波法 骨の海綿骨に超音波を当て伝搬速度の違いによって骨密度を測定 踵骨

〇当院では9月にDXA法によるGE製全身用X線骨密度測定装置を導入。

DXA法のメリット

日本骨粗鬆症学会、日本骨代謝学会、骨粗鬆症財団が作成したガイドラインでは、DXA法による腰椎正面と大腿骨近位の測定が推奨されており、骨折のリスクが高い腰椎や大腿骨近位の骨密度の評価に適している

結果レポートの見方

DXAレポート

原発性骨粗鬆症の診断基準(2012年度改訂版)

低骨量をきたす骨粗鬆症以外の疾患または続発性骨粗鬆症を認めず、骨評価の結果が下記の条件を満たす場合、原発性骨粗鬆症と診断する。

Ⅰ.脆弱性骨折(注1)あり 1.椎体骨折(注2)または大腿骨近位部骨折あり
2.その他の脆弱性骨折(注3)があり、骨密度(注4)が
YAMの80%未満
Ⅱ.脆弱性骨折なし 骨密度(注4)が YAMの70%以下 または-2.5SD以下

(日本骨代謝学会 2012年度改訂による原発性骨粗鬆の診断基準より引用)
YAM:若年成人平均値(腰椎では20~44歳、大腿骨近位部では20~29歳)

注1 軽微な外力によって発生した非外傷性骨折。軽微な外力とは、立った姿勢からの転倒か、それ以外の外力をさす。
注2 形態椎体骨折のうち、3分の2は無症候性であることに留意するとともに、鑑別診断の観点からも脊椎X線像を確認する事が望ましい。
注3 その他の脆弱性骨折:軽微な外力によって発生した非外傷性骨折で、骨折部位は肋骨、骨盤(恥骨、坐骨、仙骨を含む)、上腕骨近位部、橈骨遠位端、下腿骨。
注4 骨密度は原則として腰椎または大腿骨近位部骨密度とする。また、複数部位で測定した場合にはより低い%値またはSD値を採用する事とする。腰椎においてはL1~L4またはL2~L4を基準値とする。ただし、高齢者において、脊椎変形などのために腰椎骨密度の測定が困難な場合には大腿骨近位部骨密度とする。大腿骨近位部骨密度には頸部またはtotal hip(totalproximal femur)を用いる。これらの測定が困難な場合は橈骨、第二中手骨の骨密度とするが、この場合は%のみ使用する。
付記 骨量減少(骨減少)〔lowbone mass(osteopenia)〕:骨密度が-2.5 SDより大きく-1.0 SD未満の場合