骨粗鬆症とは?
骨粗鬆症とは、「骨強度の低下を特徴とし,骨折のリスクが増大しやすくなる骨格疾患のこと」を言い、日本では推定1300万人の患者さんがいます。骨量はコラーゲンなどの骨基質とハイドロキシアパタイトなどの骨塩からなりますが、骨粗鬆症では骨量が減少しますので、骨の微細構造が破壊され、骨の持つ体を支える機能が低下して骨折が起こりやすくなります。
骨粗鬆症の好発年齢
骨粗鬆症は加齢や生活習慣などが関係する原発性骨粗鬆症と病気や栄養障害などで起こる続発性骨粗鬆症に二つに分類されます。特に女性は閉経後にエストロゲンと言われる女性ホルモンの産出量が急速に低下しますので、50歳前半から骨粗鬆症になりやすく、60歳代では32%、70歳代では50%の女性が骨粗鬆症に罹患します。
骨粗鬆症の症状
骨粗鬆症そのものは問題ありませんが、わずかな外力で脊椎椎体骨折、大腿骨近位部骨折、上腕骨近位部骨折や橈骨遠位部骨折が起こります(脆弱性骨折と言われています)。わが国における大腿骨近位部骨折の発生は年間約19万人で、女性は男性の3倍です。脊椎椎体骨折は大腿骨近位部骨折よりさらに頻度が高く、背中が丸くなり身長が低くなることで脊椎椎体骨折に気付く場合もあります。一度脊椎椎体骨折が起こりますと、一か所にとどまらず周囲の椎体骨折が重なること(骨折の連鎖)がしばしばありますので、慢性的な腰痛に悩まされたりや逆流性食道炎などの消化器症状も出やすくなります。
骨粗鬆症の診断
脆弱性の大腿骨近位部骨折や脊椎椎体骨折があれば骨粗鬆症と診断して治療を開始しますが、脆弱性の大腿骨近位部骨折や脊椎椎体骨折がない場合には若い人と比較した骨密度(%YAM)で診断します。たとえば、上腕骨や手首の脆弱性骨折があれば80%未満で、なければ70%未満で治療を開始します。
骨粗鬆症の治療
骨粗鬆症を治療する目的は骨折を防止することです。①食事療法、②運動療法、③薬物療法に大別されますが、食事療法と運動療法は治療の基本です。十分なカルシウムを摂取し、適度な運動と日光浴が重要です。
薬物療法では活性型ビタミンD3、選択的エストロゲン受容体モジュレーター、ビスフォスフォネート、テリパラチド(副甲状腺ホルモン製剤)やデノスマブなどがあります。多くは内服薬ですが、一部のビスフォスフォネートやテリパラチド、デノスマブは注射製剤です。年齢や骨密度の程度、骨折の有無により適切な薬剤を選択しますので、整形外科の先生とよく相談して薬を選んでもらいましょう。