『マダニ』について

マダニは吸血性のダニの中でも大型のダニの総称で、 吸血前は2mm程度ですが、雌の成虫が充分血を吸った時には20mm近くの大きさになります。
5~8月にかけて活発に活動し、野山の木や薮、河川敷や公園の草むらなどの葉、枝、草の先端で待機し、 炭酸ガス濃度・音・振動でヒトや動物の来るのを感知して、動物の上に落下して皮膚に吸着して吸血します。
マダニは皮膚表面をはっても、蟻走感をヒトに全く感じさせないので、上背・前腕・顔面だけでなく、 脇・肛囲・大腿・陰部・耳孔などにも吸着します。 ゆっくりと長時間吸血し、約10日で自然に脱落します。
その際局所の麻酔作用や細胞を溶かし炎症を起こす作用などさまざまな生理活性を持つ唾液を皮膚に注入するのです。

 

『マダニ』に刺されたときの対処

治療は『虫体の除去』とマダニによる『感染症の予防』です。


吸着しているマダニを無理に引っ張ると、マダニの口の部分(口器)を残してちぎれ、 それが異物となり後に皮膚腫瘤をつくったり、感染を助長させたり化膿する原因になるため、 マダニを付けたまま皮膚を切除することが望ましいです。


マダニに刺されていることに気付いたときには、すぐに医療機関を受診するようにしましょう。

山の中など、どうしても直ぐに皮膚科を受診できないような状況ならば、 先の細いピンセットで、頭部のできるだけ皮膚に近い部位をつまんでゆっくり引き抜きます。


勢いよく一気に引き抜こうとすると口器を残してしまう可能性があります。 ピンセットを使う場合も決して太い虫体をつまんで引き抜かないことです。


口器ごと引き抜いた後は、たとえ刺し傷が良くなっていても放置せず、できるだけ早く皮膚科を受診しましょう。 できれば証拠となったマダニは捨てずに容器に入れるなどして持参して頂くと診断が確実になり助かります。

 

『マダニ』が媒介する感染症

 マダニは細菌、リケッチア、ウイルスなど多数の感染症を起こす微生物を体の中に蓄えており、 マダニの唾液を介してヒトはそれらの微生物に感染します。特に吸血開始後48時間以上すると感染の可能性が高くなるといわれています。
その代表的感染症が日本ではシュルツェマダニによるライム病です。


この疾患は、大きく早期と後期に分けられますが日本での報告症例のほとんどは早期のものです。 早期の症状としては、マダニに刺されてから10~14日後に刺された部位が赤く盛り上がった紅斑で始まり、 遠心状に拡大し、大きさは数センチから数十センチ位になります。


全体が赤い均一性紅斑だったり、周辺が赤い環状紅斑だったりします。 これを遊走性紅斑と言い、ライム病に特徴的な初期の皮膚症状で、通常数日から数週間続きます。 但し、この紅斑が出現しないこともあります。


他に発熱(高熱もあり)、首の後ろの痛み、筋肉痛、関節痛、リンパ腺腫脹が見られることがあります。


これらの症状は抗生剤の内服で治療可能ですので、 マダニに刺された後にこのような症状が現れた場合にはすぐに皮膚科を受診するようにしましょう。

 

『マダニ』に刺されないための予防策

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