更年期とは
更年期とは、閉経前・閉経期・閉経後(40~60歳)の期間のことであり、 卵巣機能低下に伴う女性ホルモン(エストロゲン)低下・欠落による精神・身体症状が不定愁訴として現れます。
この不定愁訴によって日常生活に支障をきたす場合を更年期障害といいます。
更年期障害にはエストロゲンの低下だけではなく、高脂血症や骨粗鬆症などの加齢に伴う疾患や社会環境の変化による心理的な要因も関連しているといわれています。
症状
- 血管運動神経 … のぼせ、ほてり、異常発汗、冷え症、動悸
- 自律神経症状
- 精神神経症状 … 不眠、ゆううつ、頭痛、頭重感、気分不安定、逆上感
- 運動器症状 … 肩こり、腰痛、関節痛、筋肉痛、手足のこわばり
診断
更年期であること、上記のような症状があった場合に、更年期障害の診断・検査を進めていきます。
1.症状の程度の評価
症状を客観的に評価するために、様々な方法が存在しますが、ここでは肩こりや倦怠感の訴えが多い日本女性向けに作られた、 SMI(簡略更年期指数)を紹介します。各項目の当てはまる点数の合計で評価します。
2.検査
婦人科疾患の検査(内診・癌検診・超音波検査)、内分泌検査(ホルモン値の測定)、 全身状態の把握(血液検査・レントゲン検査・心電図検査)、骨粗鬆症の検査などを行います。
3.更年期障害と似た症状を呈する他科疾患の鑑別
精神科疾患
気分障害 (気分の落ち込み・欲求低下や爽快気分を主徴)、統合失調症(幻覚・妄想・無為・自閉を主徴)、不安障害、身体表現性傷害
内科疾患
自律神経失調症、甲状腺機能低下症・亢進症、高血圧症、心・肝・腎機能傷害、機能性頭痛(片頭痛・筋緊張性頭痛・群発頭痛)
整形外科疾患
腰痛症
耳鼻科疾患
メニエール病(めまい・耳鳴り主体)
治療
- 生活指導(食事,運動,栄養などの適正化)・カウンセリング
- 薬物療法
症状や検査結果に応じてホルモン補充療法、漢方薬、精神安定剤などが選択されます。 それぞれに適応や副作用がありますので、医療機関で自分に適したものを選んでもらいましょう。
最後に
閉経女性に対して行われたある調査によると、更年期障害があったと本人が自覚したのは48.8%であり、 23.2%が治療を受けたことがある、もしくは1年以上の心身不調を自覚していたそうです。
つまり、約4人に1人は医療機関のかかるべき方であるということです。
最近では、更年期外来のように、先に述べた不定愁訴を診察する医療機関が増えています。
決して1人で症状を抱え込まず、相談してください。